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2016.12.14

工場見学のすゝめ(その2)

特命書記兼もはや工場見学マスター。
そんな、わたくし R がお届けします。

 

「工場見学のすゝめ」第2弾。

 

前回の初級編に引き続きまして、今回は …。

 

「歴史の勉強なんて何の意味があるんですか先生?」
とか言うコは黙って Masaki の工場見学に参加して、
それでもまだ、そんなことが言えるのかどうか。
ちょっくら、見てみようじゃないの! おぉぅ!?

 

というテーマにて「すゝめ」させて頂きたく。

 


 

多くの「科目」がそうだと思うのですが。「コレ勉強してなんになるの?」というのは、青春時代に皆が皆、悶々と感じる疑問のひとつではないでしょうか。こと「歴史」というものに関して言うと、進んでマニアになられるかたが一定割合おられますが、それでもなお、一般的には、他の多くの科目と同じく「コレ勉強してなんになる?」のたぐいのひとつでしょう。

 

学生時代に「ベル(サイユの)ばら」の直撃を受けていた我が母などは「世界史最高、オスカルさいこー!」と高揚しながら、わたくしの本棚から受験参考書などを手にとって眺めていましたが。わたくしからすれば、世界史は面倒な暗記モノというだけのものでございました。

 

はて、さて。

 

Masaki さんの工場見学ツアーは「ものづくり」の現場を伝える為のものではありますが、その至るところ、ふんだんに「歴史」的な要素が盛り込まれており。洋服という身近なアイテムを通じて、あらゆるモノゴトは、歴史の一部であるという、当然のことに改めて気付かせてくれる、そんな代物でして。

 

もし自分が中学生や高校生の時分に、このツアーに参加していれば。ああ、勉強って、自分が実際に生きる世の中と、密接に関わるものなんだなあと感心して。少なくとも歴史の科目に関しては「コレ勉強してなんになるの?」と思うことは無かっただろうと確信するのでした。

 


 

西洋にせよ東洋にせよ、漢字の「洋」は「さんずいにひつじ」と書く。羊は人類の文化・歴史において、それだけ重要であった。遥か6000年前、古代メソポタミアでは、既に羊が家畜として飼われていたんだよおお!

 

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さて、それまで手仕事に頼っていた「いと紡(つむ)ぎ」たる紡績は、イギリスで産業革命が興ったことで工業化され、大量に均質な糸をつくれるようになった。横方向に撚(よ)りをかけながら、同時に縦方向に引っ張る。言うは易しだが、この複雑な作業を機械にやらせる。当時の世界最高の頭脳が編み出した、偉大なる英式紡績。その頃にノーベル賞があったなら、受賞は確実だああ!

 

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そんな、英式紡績を見たフランス人は「ウーララ(おやまあ)」と感嘆しながらも、更になめらかでキメの細かい生地を得たいと願い、仏式紡績を生み出す。無骨なイギリスのハリスツイードに対して、フレンチメゾンのエレガントなスーツ地を想像してみいい!

 

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そして、更に遅れて登場するイターリア。イタリア職人のクリエイティビティを発揮すべく、特殊な材料を混ぜ合わせて紡ぐことのできる、イタリア式の紡績を極めていく。イタリアのニットに特有の「楽しい風合い」は、こうして現在に引き継がれているんだぞおお!

 

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そして、お待ちかね。ようやく、我らがニッポン登場。岩倉具視の遣欧使節団は、西洋のウールの文化に衝撃を受け、日本の近代化に欠かせない要素だと確信。日本における毛織物の輸入、そして工業生産が、本格的に幕を開けるのであった …。

 

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と。

 

学校の歴史の授業で、単に暗記すべき対象として習った、用語や出来事が。まさに、目の前の機械で紡がれる糸のように、リアルに、そして有機的に絡み合い。あれほど覚えるのに苦労した「歴史」が、もはや、忘れることのできない物語として、アタマの中に刻み込まれるのでありました。

 

しかも、佐藤繊維の場合。大手の会社さんがつくらないような、特殊な糸を生み出すためにと。今や普通の工場では使われないビンテージの機械が、そこかしこに、それも現役で残っており。やれ産業革命だ、英式だ、そして、それに負けじと仏式だ! という「歴史」が。目の前で忠実に再現されるわけでして。このレッスンの濃密さと言ったら …。

 

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と、言うわけで。

 

機会がありましたら、是非に。単に「糸づくり」という枠にとどまらず「羊と歩む人類の歴史」とでも言うべき、壮大なストーリを体感すべく。ふるって、参加されてみては如何でしょうか?

 

以上、僭越ながら。

 

このたびは「歴史のお勉強」とかけましての、
「工場見学のすゝめ」第二弾でございました。

 
 

そうそう / 特命書記兼もはや工場見学マスター R

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